「発熱対策」・・真空管のことです(^_^;)

No.1206

 

<マニアックな内容ですが、本人の作業記録として(^_^;)💦>

 

 先日、真空管ラジオの「真空管」を手の甲で触れた時に、あまりの熱さに一瞬!

手を他の場所にぶつけてしまいました。(感電したときと似てるかも(^_^;))

 

もちろんみな真空管が熱くなるわけではありません。

弱い信号を取り扱う場所の真空管は「ほんのり暖かい」程度なのですが・・・

交流を直流に変える「整流管」や、スピーカーを鳴らすために信号を大きくする

真空管などは手で触ることが出来ないほどに「熱く🔥」なります。

ガラス管がそれほど熱くなるのですから、中の金属部分は更に熱いはず!

ネットで調べてみたら・・・ガラス表面で「約140度」あるそうです!

特に真空管の上の方は活発な動作をしているので160度を超えることも!

これは火傷する🔥温度です!

 

 昔から「真空管ラジオ」は・・・

●寿命が短い(約1000時間、特に真空管内部のヒーター切れ)

●コストが高い(真空管そのもの、ラジオ製品単価)

●機会的な振動、衝撃に弱い

●ラジオ全体が大きい

 

 などど言われてきました。 それでも当時のメディアとしては重要な存在でした!

盛んに売られていた昭和30年代〜40年代、少しデラックスな物は当時の価格表示が

びっくりするほど高価なものでした。

 

例:ナショナル パナソニックRE-860 

(FM、SW、AMの3バンド)

  定価:16,800円

 

 1964年当時の小学校教諭の初任給が「16.300円」、鉛筆「10円」、

また「もりそば」が「50円」だったそうです。

単純に10倍すると現実味が出てきます(^^)

 

 今の価格にざっくりと換算すると・・・・16万8千円!!

 

当時としてもかなりの「贅沢品」だったのでしょう!

いまヤフオクで落札して直している「大型ラジオ」、もう何台も直していますが

今だとすると・・・新車が自宅にやってくるような? ウキウキ感覚で出迎えられて

「東京オリンピック」「高校野球」「のど自慢大会」などなどを聴いて過ごした人が

たくさんいたのでしょうねぇ。

(当時の部品を見ているだけでも、ノスタルジーを感じる私です(*^^*))

 

 真空管を大事に保管してきてくれた方々も多く、今のところそれほど高くない価格で

かつて使われていた番号の物を手に入れることが可能です。

ラジオの寿命は「音が出なくなった」「音が酷く聴きづらくなった」「煙が出た」など

実は真空管そのものの異常ではなく、コンデンサーやスイッチなどの不良が原因でもう

聴かなくなってそのまま蔵の中へ・・・という例が多く、その時点から真空管そのもの

の劣化が止まり「保護」されていることが多く、大抵のヤフオク落札品において真空管

が壊れている例は少ないんです(^_^)v

 

 そこで・・・

より長生きして欲しいと思い、今回「真空管の放熱」を真剣に考えて

みました。

手始めに台所に有る「アルミフォイル」を巻きつけて冷やす方法をやってみました。

手前が「6AR5」というスピーカーを鳴らす真空管で、奥が交流から直流に直す整流管

です。両方とも「熱いコンビ!」です(^_^;)

 

f:id:masatdm1951:20200516215344j:plain

 

 結果として、このアルミ箔にも触れないほど「熱い!」です!

最終的には巻いてある銅のテープの色が白く変色するほど、熱が出ているようです。

 

 一番理想なのは、金属の放熱器に「風」を当てて冷やすことです。

そこで試しにAmazonで「USBで使える安いファン」を購入!

スマホの充電用のUSBアダプタ(コンセントに差し込むタイプ)も購入!

でも!これは失敗でした(T_T)

 

f:id:masatdm1951:20200516220435j:plain f:id:masatdm1951:20200516220451j:plain

 

<失敗した原因>

ファン・・・モーターにはブラシと言って、電気接触があって雑音が大量発生!

USBアダプタ・・この中の電気的にスイッチする電子回路が雑音を大量発生!

f:id:masatdm1951:20200517092628p:plain

 

空中の微弱電波を受信するラジオの中に、雑音の塊(かたまり)を入れたのですから、

とてもとても、ラジオが聴ける状態ではありませんでした(T_T)

 

そこで考えた対策が・・・

ファンを「ブラシレス」に代えてみることです。

これは火花が出ないタイプのファンです。

f:id:masatdm1951:20200516221820p:plain

 

さて困ったのは・・・電源です。

ラジオには直流の5Vはまずありません(T_T) 

そこで思いついたのが、ラジオのパイロットランプ(電源を入れた事が分かるランプ)

用の「交流6・3V」です」

このまま約5Vもしくは5V以下の電圧が得られれば、雑音ゼロの可能性があります。

 

f:id:masatdm1951:20200516221235j:plain

 

やってみましたところ・・・直流3.98V(約4V)が得られました!(^_^)v

5Vのフル電圧を加えるよりも回転数が落ちてくれるので「風音」も小さくなり、

程良く回ってくれました(^_^)v

 

肝心の放送局の受信への影響は?

全く雑音のないクリヤーな受信ができました! 

「ヤッター!\(^o^)/」

早速小さなファンを真空管付近に接着固定しました。

数時間動作させましたが風の効果はバッチリで、手で触れるほどに温度低下が確認

出来ました。 もちろん温度低下による動作不良はありません(*^^*)

 

アルミフォイルでもファンがあれば効果がアップする確認ができたので、次のラジオの

ために放熱器そのものを考えてみました。

 

 真空管はガラスなので、あまり強く巻きつけることが難しく、かと言って離れていた

のでは全く効果がありません。

そこで、自力で巻き付くタイプでありながら羽根をも「放熱器」を作りました。

材料は銅板です。

 

f:id:masatdm1951:20200516223525p:plain

届いて少し不安なのは・・・0.4mm厚みの銅板って、意外にも硬くて、手では簡単に

曲がってくれそうもないのです。

手を切ってしまう予感がするので・・・布を巻いて手袋をしてまずは金属ケース式の

「マジック」の胴体に巻きつけてみました。

真空管の背丈より少し広い幅(5cmくらい)にしたのが良かったのか、割ときれいに

巻けました(^_^)v どうにも出来ない場所は道具を使って補正。

 

次に周囲に放熱の羽根をハンダ付けします。

(かつての仕事が高周波関係で、慣れた仕事でしたので楽しいです🎵)

真空管を差し込んでみました。

ゆるさキツさは手で広げたり、締めたり出来るので様子を見ながら調整できます。

出来上がったものは・・・・

 

f:id:masatdm1951:20200517093341j:plain

 

 

f:id:masatdm1951:20200517093402j:plain

 

何だか真空管が「着物」を着ているみたいに見えます(*^^*)

羽根をもう少し広くすれば冷却容量は増しますが、もともと放熱無しで設計されている

電子管ですから絶対に必要なものではない分,気が楽です🎵

 

実は・・市販品も有るのですが、それは金属の糸を編んで幾重にも重ねて軽く縛る

方式なのですが・・・・何しろ3000〜6000円もするんです(^_^;)

オーディオを趣味とする人は音に拘りますので、真空管を冷却すると「音が良くなる」

というコメントが結構あるんです。

真空管ラジオに付けている例はあまりありませんので、逆に新鮮です(^o^)

 

これで熱の心配があって「なるべく短い時間だけ聴く」という懸念材料が減りました。

 

自作は「見栄えが悪いけど」、野菜と一緒で「安く」「美味しい」ですね(^_-)-☆